新築住宅を選ぶにあたって、5パターンの角度から説明をして来ました。

今回はシリーズ最後となる、⑤複合追及で選ぶ家です。

今まで見て来た①~④を組み合わせるにはどんな方法があるかということになります。

①デザインの好みで選ぶ家
②性能重視࡛選ぶ家
③ブランドで選ぶ家
④価格࡛で選ぶ家

この4つのいいとこ取り、とはなかなか難しいようですが、考え方の切り口を変えれば理想に近づくこともできます。

しかし、施工予定の土地をこれから探す、というのでは具体的な建物の話の土台には乗ってきません。

複合追及がご希望の方は、単独追及の方に比べてこの土地の選び方や特徴などの要因が様々な予算部分に影響してきやすいので、より具体的な商談ができるようチラシやネットなどで土地情報はしっかりと仕入れておきましょう。

土地は建物の請負先に一緒に探していただくことも非常に多いのですが、まずその土地情報を与えられる前段階において、付近の相場や土地の広さなど、何となくの感覚は掴んでいたいものです。

では、どのように複合追及するのかです。

④の値段帯をどこまでの金額に設定するかというところで大別されます。

【建物本体価格目安(2500万円〜3000万円超)が可能な予算のケース】

家の広さは考慮していませんが、平均ラインで基準をみると予算がある程度多めに確保できる方は複合追求は難しくはありません。

一級建築士事務所などに依頼するのも良い方法です。

しかし事務所は設計がメインですから、施工は建築会社に依頼することが多いでしょう。

ですので、工事体制の如何により、性能のこだわりに関しては部材仕入れや施工方法などについて実現に厳しい場面も出てきやすいところ。

どうしても名のある建築士のデザインは取り入れたい、というのであれば設計料をのみをお支払して、可能であればメーカーに持ち込む、なんて手も時には可能な場合もあります。

やはり、固くいくのであればハウスメーカーです。

まずやるべきことは、できるだけ多くのハウスメーカーの商品情報を集めること。

その中でどうしても取り入れたいデザイン、もしくは性能を実現すべき材料や種類などを、工事に取り入れてもらえるかどうかを、依頼したいメーカーに率直に聞いてみることです。

例えば、このメーカーならほとんどの夢は叶うけど、どうしても地震対策で躯体に鉄骨の補強材がほしい、とか、窓のデザインだけが好みじゃないな、などもよくありますし、断熱性能がもう少し良くなれば、キッチンだけは輸入ものがいい、などなど。

メーカーに変更することは可能かどうかまず聞いてみるのです。

この際に、他の会社の詳しいパンフレットなどもあれば、双方の認識が間違いなく伝わりますので、そのままお見せしてしまう方が賢明でしょう。

話を聞いてもらっている営業マンに、他の競合会社のパンフレットを見せるなんてと気がひける方も多いかと思いますが、大きなお金を支払い、一度の夢を叶える家づくり。

この建築業界は、部材や作り方を多岐にわたる呼称で呼ぶことがあります。

全く違うものだと消費者側が思っていても、名前は違えど同じもの、または同ラインのものをそのメーカーが仕入れられることもたくさんあります。

ですので、話を切り出すことで、自分が思うより意外な発見も生まれる可能性も大きいのです。

ある程度坪単価が高いメーカーは、ブランドイメージに大きな影響をもたらす変更でない限り、要望を聞いていただけるところも多いはずです。

しかし、決められた標準からの変更であったり、大枠の坪単価からの追加なので、オプション費用の増大は避けられません。

まずはたたき台となる簡単な間取りプランを提示し、変更可能かどうか、いくら位の予算がプラスになりそうか聞いてみてください。

こうじゃないとダメなんだな、と思い込んでいた難題も容易に解決するかもしれません。

いずれにせよ、住宅密集地域や住宅街に土地をご購入予定の方にとっては特にではありますが、土地条件により建てられる建物の広さ、高さなども各用途地域によりかなりの規制の差があります。

市によっては地区計画などでさらに制限されるケースもありますから、やはり土地に関しては早めに目星をつけたいところです。

【建物本体価格目安(1200万円〜2200万円クラスを目指す予算のケース)

上記と重複することもあるかと思いますが、ローコストクラスで複合を追及することが、今まで見て来たどのタイプの家づくりより、最もハードルが高いと言えるでしょう。

ですが、決して諦めないで下さい。

どちらかといえば私がお会いして来たお客様の多くがこのケースでした。

たくさんのこだわりを実現したいけど、予算は少ない。

それは無い物ねだりにようにも聞こえるかもしれませんが、時間をかけ、実現できる工務店をさがしあてられるか、と言うのが最大の難関です。

ここで重要なのは『工務店』の力です。

工務店、ですので、この時点で直営店展開の大手ハウスメーカーや順ずるメーカーは候補から消えます。

あえていうならば、1つだけ諦めなければならないのが『ブランド力』です。

なぜか?
そこは知っておくべき重要ポイントです。

私の経験上と見解からすると、大手など直営店で家を建てた人が、そのメーカーをどなたかにご紹介し、その方もご契約なさるというご紹介ケースが非常に少ないためです。

直営店展開は住宅公園に来た新規を掴むことに専念しています。

ですからご紹介の契約は、工務店に比べ極端に少ないとも言えます。

これが意味することとは何でしょうか?

『値引きしない』ということです。

お客様還元のための値引きシステムがほぼないというのが1つ事実です。

もちろん、ブランドネームで売っているのですから値引きしないもの当たり前ではありますが、本当の意味はここにあります。

大手に関しては、新規施工の利益だけが大切なわけではありません。

引渡し以後も長い間メンテナンス費用を施工主から頂いたり、10年刻みで簡単なリフォーム費用をもらうとこを徹底してやっています。

一軒を何十年もずっと囲い、子供世代までに営業するやり方ですから、友人や知人紹介より、新規追求するわけです。

これに対して工務店の特色は、連日多くの人が賑わう住宅公園とは違い、言うなればじっくりと1人の顧客に対して向き合ってくれるため、ご友人などのご紹介も出やすい展開となるのです。

イコールご紹介料、お値引きやオプションの上乗せなどと建物価格が変動しやすいというわけです。

結果として、顧客サイドがうまく商談の舵を握れれば、限られた予算の中でも多少のやりくりは叶う、ということになります。

私が長きにわたり追及してきたのは、この『コスト安複合追求パターン』です。

工務店の選び方にはいくつかのポイントがあることを念頭においていただきたいのです。

年間施工頭数、会社規模によって候補会社の選別方法が変わります。

この辺はかなり業界のタブーになってくる部分。
なぜ私が大手で家を建ててこなかったのかの理由もそこにあり、具体的に次の記事でお伝えします。

話を戻しますと、工務店をどう探せばいいのかということになりますが、簡単にはいくつか条件があります。

http://i.yimg.jp/images/mail/emoji/docomo_au/26AB.png︎施工場所の県内、もしくは隣接県の工務店であること

http://i.yimg.jp/images/mail/emoji/docomo_au/26AB.png︎ローコストクラスの住宅を扱っていることorフランチャイズ商品を看板にしていること

http://i.yimg.jp/images/mail/emoji/docomo_au/26AB.png︎フランチャイズ加盟店の場合、商品をプラン変更してカスタマイズ施工した実績があること

http://i.yimg.jp/images/mail/emoji/docomo_au/26AB.png︎営業以外、設計担当や工務担当とも商談ができる環境であること

この条件は最低限クリアしたい工務店の選別ラインです。

ただし、まずは何をどう建てたいか、顧客サイドもきちんとイメージしておくことは最低限用意すべき必須条件です。

これができていないうちに商談に入ってもほぼほぼ思う通りには行きません。

本来はまだ白紙の建物を白紙の土地の上に建てる構想の話ですから、まだはっきりとした答えにたどり着けていない、ということはあらかじめ留意しておいて下さい。

低予算で、全くの1からプランニングは、この予算帯ではまず不可能。

ポイントは『フランチャイズの安い建物を探し当てること』です。

建物の間取りや仕様がパッケージされていて、値段が決まっているものを探してください。

施工実績のある商品のカスタマイズ、というイメージであれば不可能も可能にできやすいのです。

これは既に建物の積算価格が出ているからです。
変更箇所だけに着目すればよいわけですから、交渉のステージに工務店が乗ってくるケースが多いでしょう。

いずれのケースも土地情報を早めに正しく把握してからプランを描いていかねばなりません。

土地が変わればプランもそのまま、と言うのはまず不可能です。

複数回希望地を変えることにより、何度もプランニングしすぎると、方向性を失うばかりか、プラスの設計料を支払うとこにもなりかねません。

少しの追加変更がかさむと余計なお金が大きく膨れ上がる家作り。
出費は極力抑えるよう最新の注意も必要です。

③価格重視で選ぶ家でご説明した通り、建物予算を安くできるのは、できているものを安く買うフランチャイズ商品でした。

なおかつプラスアルファをつけるのであれば、顧客サイドの努力が結果に大きく影響しますので、工務店へ出向く前にしっかりとポイントを押さえていってほしいと思います。

・候補地の土地情報(あれば現地の写真※付帯工事費に通常以上の予算配分が必要かの判断材料になります)
・総予算
・建物にかけられる予算上限
・建物の大きさ(坪数)
・部屋数
・車の車庫台数と位置
・大まかな外観
・大まかな間取り
・玄関の位置
・仕上げのデザインの好み
・加えたいor変更したいこだわり部分(部材や性能など)

この位は必ず用意してから工務店の選別を始めます。

先ほど県内の工務店、といったのも実は余計なコストの削減のためです。

工務店には遠距離割り増しというシステムがありますので、要望を叶えてくれそうな工務店が遠いと経費が多額にかかります。

まずは県内で完成建物のイメージに近く、ローコストクラスの商品展開をしている工務店をピックアップしてみましょう。