家を建てる予算、と言っても多くの方がその出し方については知らないことが多いと思います。

簡単に説明すると、

  1. 本体価格(坪単価)
  2. 付帯工事価格
  3. 諸経費

という3つを足した総額が『建物の予算』となります。

土地を購入する場合は、これに

④土地費用

がプラスされ4つの総額で『総予算』となります。

【本体価格と坪単価】

本や雑誌で、住宅の請負会社の情報を調べると、家の本体価格についてのみが一人歩きしてしまいがちですが、どう判断すべきでしょうか?

坪単価〇〇万円〜や、企画商品といった、この商品が何坪のプランでいくら、のような価格を設定しているハウスメーカーも多いですが、本来は企画商品以外、丸っきり1から組み立てる注文住宅には契約前の打ち合わせ段階では、本体価格を正確に伝えることができません。これはプランが出来上がった後で積算を出した後でないと、いくらで見積もりを出せるかわからないためです。

この本体価格については、坪単価を主軸として売値を決める会社においては、希望の大きさの坪単価設定が詳細に明示されているハウスメーカー、工務店は非常に少ないです。

気をつけたいのは、『坪単価〇〇万円〜』という売り文句を掲げている会社です。

安さを売りにしたローコスト住宅によく見受けられますが、これは40坪以上の建物以上の場合(60坪以上の建物の場合などという会社もあります)などと、ある程度大きい家のプランを作る場合がほとんどです。

これは、家という箱を作るのに、お客さんには大きな箱を買ってもらえた方が、まとまった材料を安く仕入れられるという理由や、次に②で説明する付帯工事価格と建物は必ずセットになるため、建物が小さくても大きくても必ず最低限はかかってしまう最低費用が、小さい建物の方が余計にコストを要してしまう逆転ラインが存在するためです。

これは一棟を建てる工事に携わる業者の数、工事をする職人の人躯はそれほど変わらないのにもかかわらず、請負金額は少ないとなると、請負会社側は大きな建物を請け負うより、小さな建物を請け負う方が圧倒的に損であることを意味します。

一棟の家の箱の材料費は、請負代金にさほど大きく影響しないということなのです。

二階建ての30坪の建物を建てる場合と60坪の建物を建てる場合の材料は2倍ではないのです。

(平屋との比較や三階建て以上の場合はまた異なりますので別の機会にお話しします)

つまり、主には材料に多額のお金がかかるから家は高いもの、という認識がありますが、業者に支払う金額が本体価格のある程度の割合を占めているということなのです。

ですので、注文住宅を建てる際は基本的には契約前にプランが固まってから、いくらになるかを確認した上で契約をするのがベストと言えます。

これに比べ、標準プランが決められている建物はもう既に積算価格も出ている上で建物価格〇〇万円と設定されていますので、少しのプラン変更などで大きな建物価格の違いは生まれないということです。

こちらを踏まえた上で会社に交渉をもちかけましょう。

【付帯工事費用】

聞き馴染みのない言葉ですが、本体価格はあくまでも箱の価格ですね。

この箱を建てるための工事が付帯工事です。

金額の設定は全国平均およそ200万円程。都内などに限っては狭小地な場合が多いので450万円位に跳ね上がることもあります。

これは、敷地が狭いために、業者が敷地内に車両を駐車することができず、コインパーキングなどに置かざるをえなくなるためや、交通整備員の設置、狭い壁と壁の間に狭小地用の専用足場を設置し、主に外工事を担当する外壁工事業者や水道業者などにも、他県などの工事状況とは違う割り増しがあるために費用が高くなっています。

付帯工事の具体的な内容を見る前に、最初におさえておきたいことは、先ほど説明した本体価格を出来る限り安く見せるために、この付帯工事を高く設置する会社も多いということです。

あくまでも本体価格とセットとなる付帯工事は単独で値段を判断するのではなくなく、必ず本体価格と足した価格で比較してみましょう。

ではこの付帯工事に含まれるものはなんでしょうか?

主には本体を作るために業者が使う仮設水道、仮設電気を引く工事費用や、建物を建てる前に必ず検査をする地盤調査の費用、工事にあたり設置する足場や建物を囲う養生代、端材の処理費や残土の処理費用、万一に備えての工事中の火災保険、第三者に対する損害のための保険や、本体の工事を約半年近く管理する管理費用など細かく分けますと20〜30項目かかるところもあります。

輸入住宅を建てる時には、海外部材を使うため、コンテナでの建材輸入費用なども含まれる場合もあります。

こういった付帯工事も会社により項目や代金も違いますので、いくつかの会社で比較してみるのも良いと思います。

【諸経費】

こちらは主に、銀行に支払う保証料と、金銭消費貸借契約という、銀行若しくは保証協会との契約に当たる印紙税や司法書士に支払う抵当権設定費用(これには国に収める登録免許税も含みます)、建物を建てたときの表示登記、保存登記費用などがあげられます。

また、取扱銀行の事務手数料などにも多少の金額の差異はあります。

借り入れをする債務者に対しての基準で、銀行により債務者に対する設定金利も違いますが、保証料の算出の仕方も違いがあります。

借り入れ金額などによっても保証料の額は変わりますし、銀行がお金を実行するまで分割して実行をする場合や返済を始めるタイミングによっては、金利やつなぎ利息などの費用もこの諸経費にかかる項目の1つです。

ネット銀行などはこの保証料を0円などとうたうところがありますが、事務手数料がほぼ保証料と同じ相当額に当たるため、総体の諸経費に大きな開きが出るイメージとは違います。

あらかじめ事前審査を受け、金利や借り入れ額から諸経費を算出しておくことが大切です。

この他に諸経費には購入する予定の家具、家電、カーテン、照明器具の費用なども含めて考えておきましょう。

【土地費用】

土地の価格の他にも隠れた予算があります。

これは土地を売買して購入する際の仲介手数料です。

他には地盤調査の結果により、地盤改良が指示された際の工事費用(こちらは付帯工事に入れるケースもあります)、外構工事費用と呼ばれる門扉、アプローチ、車庫、庭などといった家の外回り費用もあります。

これは土地費用に含むか、諸経費としてどちらかで計上しておかねばなりません。

その他予算組み・借り入れの際の注意点

これら土地費用にかかる売買代金以外の金額や諸経費全体については銀行により、住宅ローンとしては借り入れできないこともあります。

諸経費も住宅ローンの対象にならない場合、諸経費ローンという、高い金利で別途借り入れするか、自己資金により支払いをしなければなりません。

注文住宅の場合、建売やマンションなどの一式費用を購入価格とみなす場合とは違い、諸経費、土地の代金以外の費用は住宅ローン範囲外とする銀行も多いために、よく言われる総予算の1割は自己資金がないと家は建てられないというのはこのことなのです。

最近ではこの住宅ローンの枠は以前より拡大され、諸経費も住宅ローンとして扱う銀行も増えたため、なかなか自己資金が貯められない若い世代にも比較的住宅が持ちやすくなりました。

住宅ローンの範囲についての条件はあらかじめ借り入れ予定の銀行に確認しておくことが特に重要です。