家づくりにおいて、当初いくらと総予算を決めていても、なかなかその通りの金額におさまることはなく、大抵がオーバーしてしまいます。
この理由の多くが土地にかかる費用の増大です。
土地の売買代金、建物予算、銀行や登記関係を足して想定しておく総予算ですが、見えない増加も予測することが大切です。
ポイントを知れば土地選びの際から追加となるかも知れない予算を確保しておくこともできますが、予期できない場合もあります。
土に関わる工事費は予算の中でも特に高い割合を占めます。
具体的にはどのようなことが影響するのでしょうか?

水道工事にはあらかじめ見積もりを

まずは水道工事費用が挙げられます。

①給水工事

土地を選ぶ際、相場よりも随分安く感じる土地を見ることもあるかと思います。
このような場合、水道がすでに引き込まれている分譲地や、宅内水道配管がされている土地などにおいて通常想定するおおよその水道配管工事費用よりも、高い金額がかかるケースが多いのです。
例に挙げるならば、敷地延長の(はたざお地)の場合と道路より土地が低く下がっている場合、排水先が遠い場合などがあります。

敷地延長の場合、現在は更地になっていても、以前そこに家が建っていた土地などは、本館が埋まっている道路から敷地まで水道の引き込みがあることが多いのですが、30年以上前の引込菅を利用しようとしても、建築の申請の際、市町村から新たな配管に工事し直すよう指導されることも多くあります。
このような場合は敷地延長分、時には何十メートルも新たに新築建物まで新たな水道工事を余儀なくされ費用が莫大にかかります。
また、土地が長いこと何にも使われていなかった場所や、駐車場などに使われていた土地も使用できる配管がされていないので、同様に道路からの工事が必要になります。
こうした工事をしないと建物が新築できないため、土地代金は通常相場よりも安く設定して売り出しされているのです。
価格だけにとらわれず、概算の見積もりをあらかじめ取っておくなどしてから工事費全体を確認しましょう。

②排水工事

排水に関しても同様です。
たとえ給水工事費が多くかからなくても、排水管を引き直さなければならないこともあるでしょう。本管へ放流なのか、または浄化槽処理かなど汚水や雑排水、雨水などそれぞれ土地により市町村や組合などで処理の仕方は決められています。
排水先が遠く再度配管工事が必要な場合はやはり予算の増大に直結しますので土地選びの際には土地情報の記載事項をよく読み、給排水費用は気にしておいてください。

③見えない追加予算、地盤改良工事
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次に予算拡大に影響するのが地盤改良費用です。
同じく地面下で目に見えない予算なのですが、水道費用と違いこちらは予測するのが難しいです。
不可能とまではいきませんが、隣の敷地は地盤改良がかからなくても、当該土地を調査したら必要だったという事例を何回も見てきました。
地盤改良は家の基礎工事をする前に、地盤調査専門会社に調査を依頼して補強の有無を調べます。
建物配置図から四隅と中央の5ポイントに機械を使って杭を打ち込み、硬い地層までの深度や、地盤の土の質などのデータを出してもらい、その結果にのっとって工事をすることで、地盤沈下などを防ぐために行う重要な調査です。
つまり、この調査結果の通りの工事を土地に施さないと家は建てられないということになります。
土地を補強し、強固にするためのこの工事を地盤改良工事と呼びます。

地盤保証額と保証期間の確認を

ニュースで耳にしたことがある方も多いと思いますが、地盤補強や改良工事、杭打ち工事などの欠陥により、マンションが傾いて壁面に割れが生じたなどの事例が起きました。
ここ10年くらいでそういったニュースが取りざたされてきましたが、実は戸建て新築工事ではこの地盤調査が強制ではありませんでしたが、報道後からは法律で調査がなかば強制になりました。
こういった第三者機関の保証を付けることで、顧客自身にも安心感が生まれます。
各地盤保証会社ごとに保証期間や損害の補償額は異なりますので、契約する建築会社がどこの地盤保証会社でいくら、何年の期間の地盤保証に加入するのか、必ず確認が必要です。
この地盤改良にはいくつかのレベルがあります。
1番用意で安価なのは、表面の1メートル、1.5メートルなど、掘る深さにより価格も高くなりますが、浅い部分の土を掘り出し、砂利などを混ぜた土を新たに入れ替え、電圧して固める表層改良と呼ばれる工事です。
反対に1番高い費用がかかるのが杭打ちという工事です。
硬い地盤が何メートル下にあるかで杭の長さや費用も変わりますが、硬い地層に基礎を固定するため、杭を何本、何十本も打ち込んで止める工事です。
いずれの工事の場合も表層改良でも20万円位から、杭打ち工事に至ると200万円位までかかる場合もあります。
多くの方が土地を購入した後に調査をするため、思いがけず土地に大金がかかって建物費用の縮小を余儀なくされたり、自己資金の追加に至ったりします。
私が担当してきた時も、毎回1番気をつけてきたのがこの予算でした。
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土地契約の前に地盤調査はできる?

時に土地の契約前であっても、土地の仮押さえ(買い付け)が行われた後であれば、地盤調査を許してくれる売主もいます。
事前に調査ができれば、予算組みもできますし、あるいはローンの借り入れ範囲内でおさまるかどうかの重要な判断もできます。
しかしながら調査の際の建物の配置位置、5ポイントを50センチ以上ずらすと再調査になってしまいます。
まだその土地を購入するか決定する前であっても、しっかりプランを確定した後でなければ地盤調査は依頼できません。
地盤調査にも約10万円ほどかかさので二回費用がかからないよう、ぜひダメ元でも売主に交渉してみるとベストです。
土地柄、軟弱地盤地域は市町村で全体に渡ることもあれば、一部地域に点在することもありますので一概に予測はできませんが、傾向はつかむことができます。
昔から、沼、沢、川、水などが地名についている土地は軟弱地盤であることが多いと言われています。
地名で予測した上、古くから地域で営業をしている不動産屋に聞いてみたり、近所の住人に尋ねてみるのも良いでしょう。

この二点、水道工事費用と地盤改良費用は土地により様々です。
建築業者から後になって告げられて泣いても後の祭りになりますから、追加になるか否かの判断材料として不安であればしっかりと予算どりをしてください。
もしも地盤改良費がかからなければラッキー。
追加オプションなど、我慢していた部分にも回すこともできますね。