前回はpart①で、デザインの好みで注文住宅を選ぶポイントをお伝えしました。

今回は②の「住宅性能で選ぶ家」について書いていきたいと思います。

一般居住用住宅の性能は年々良くなり、様々な構造体についての数値などでも公表され、各住宅メーカーを選ぶ判断基準なども増えてきています。

時には同じメーカー内でも、商品ラインナップにより、構造がコタなるものもある場合がありますので、一つ一つチェックして確かめることが重要です。

構造と一言で言っても重視するポイントは大きくは以下の5つに分けられます。
全てつながりがある内容ですので合わせて参考にしてください。

A.躯体(工法)
B.断熱
C.基礎
D.・屋根
E.その他換気設備・住宅設備

躯体

躯体は家の骨組とも言える重要な部分です。

躯体を作る上で、全ての工法に共通するのが「設定されるモジュール」です。

間取りの設計をする寸法も1メートルを基準にしたメーターモジュールと、日本の独自の数値、尺モジュールと言う910ミリを基準にするもの二通りがあります。

希望の間取りが既にある場合、どちらの基準で間取りを設計するかによって施工面積(床面積も同様)に大きな違いが生まれてきます。
また、最終的な柱の本数や部屋・廊下・階段などのサイズも変わってきますのでこちらも各メーカーの大きな特色の一つですので、最初に商品パンフレットで確認し押さえておきたいところです。

では、一般的普及している在来木造住宅を見ていきます。

柱や筋交いの接合部に金具を取り付け補強した躯体である構造が一番多く見受けられます。
従来の在来工法に金具を組み合わせたことで、より強度を増すための工夫がされておりますが、着目点としては柱の太さです。
各会社様々ですが、多くは4寸柱・6寸柱などと呼ばれる木材で組み立てられます。
4寸柱ですと、サイズは12センチ×12センチです。
太さで見比べてみることに合わせ、材質も確認すると良いでしょう。
スギとヒノキでは値段にも大きく影響します。

ただ、地震大国日本では、震度6強の衝撃を2回受けると在来の躯体は6~8割以上が壊れるとも言われており、躯体を「点」で支える在来工法は強度の面についてはまだまだ躯体的には改善点が多い工法です。

続いて外国の工法を模倣したツーバイ工法(2×4などと表示)と言われる躯体です。
こちらは四角い柱ではなく、2インチ×4インチ(または6インチ・8インチなど)インチによるサイズの材料により躯体を組み立てていく工法です。

インチ表示で家を作るのは主にはイギリスやアメリカなど。
1インチ=2.54センチとして、例えば2×4だと5.08センチ×10.16センチの厚みを持った真四角ではない平たい木材で家を組み立てていくものです。
こちらの材料を縦並びに細かく立て、そこに合板で壁を貼り付けて壁面を作るのが特色です。
躯体を点で支える在来工法に比べ、地震には強い強度を保ちます。
この工法が日本に入ってきてからこの30年以上、大きな地震が何度もありましたが、あの阪神大震災でさえ、建物が崩れかかってきたものを除き、自ら倒壊した家屋は1件も報告されていないという程です。
日本ツーバイフォー建築協会が地震に対しての強度実験など繰り返し行い安全性の結果を公表しており、安定的な実績がある工法と言えます。

ただ、ツーバイ工法でリフォームをされる場合は耐力壁が多く、後の施工がしにくいのも現実です。

更にはいわゆる鉄骨住宅と呼ばれるものは、骨組みに鉄骨を組み合わせた工法です。
特に地震に強い事を前面に売り出しているメーカーが多いと思います。
この中には単に耐震性を求めるだけでなく、免震特化した商品などもあり、耐震は基礎と鉄骨躯体をアンカーボルトによる強い接合を持ち、耐力によって揺れに耐え、構造を壊れにくくするものですが、免震は少し違い地べたにくっついた基礎と躯体をあえて圧着しない特殊な金具を使用することで地震のエネルギーを逃がしたり受け流したりすることで壊れなくする技術です。
制震構造は在来でもツーバイでも構造体の部分的な箇所に可動部材を組み入れるとこができるものです。
いずれも地震においては一番安全な躯体と言えるでしょう。
ただ、火災時に大きな躯体の熱による湾曲が激しい場合、躯体からn修復を余儀なくされるケースもあるようですし、一番にはまだまだ鉄骨工法は値段が高額なため、中流年収世帯には敷居も高く。
普及にはコスト面で課題が必要な工法です。

 

断熱

「高気密・高断熱住宅」と言う言葉をよく耳にすると思います。

こちらはC値・Q値という数値で性能を表したものです。
平成25年からQ値はUA値という表示に変換されました。

C値は隙間相当面積といい、家の隙間の面積を延床面積で割った隙間面積の割合の数値です。

以前のQ値は熱損失係数といい、断熱性能を数値にしたもので、どのくらい熱が逃げにくいかを表すため、数値が低いほど断熱性が高いと言えます。

簡単に説明すれば、気密性が高いと感じられるのは映画館や演奏会が行われるような場所です。
窓もなく、壁全体で囲われているため、開けて外へ出る際に扉は重く、空気がひゅーっと音が鳴るのを感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
このような状態が隙間が少なく、気密性か高いと表現します。

熱損失係数は魔法瓶のような状態をいい、一旦温めれば熱はなかなか冷めにくく、冷たい水はぬるくなりにくい状態です。
水を空気と置き換えてみれば理論的に同じです。

これはツーバイ工法の住宅によくセットされている性能ですが、現在では在来工法のメーカーでもこの高気密高断熱の性能を商品にしているところもあります。

各社によって多少の施工の差はありますが、元々、ツーバイ工法ではまず躯体に壁面を作るため、躯体から直接
を貼り付ける在来工法とは違い、壁面の隙間に発泡ウレタン(魚の鮮度を保つための発泡スチロールのようなもの)を吹き付け、かつ内部には気密シートと呼ばれるビニールで家全体をすっぽり囲うようにした事により、気密性・断熱性を最大限に活かし、躯体を腐食させる原因となる壁の内部の結露に関しても通気層を設けたうえで外壁を貼り付けることが可能なのです。

しかしながら、在来工法では基本的に柱と外壁の間には透湿防湿防水シートというちぎれにくい特殊な紙が張り付けられているのみですので、紙にウレタンを吹き付けるのは困難であることに加え、はがれる部分が出るとこにより壁内結露を招く可能性が高まるなどの理由からグラスウールと呼ばれる綿状のガラス繊維の塊を詰め込むことで断熱材にしているのが一般的です。

このような工法の違いにより、本来の在来工法ではなかなか隙間を埋めきれず高気密・高断熱を実現するのが難しかったと言えます。

ツーバイ工法はコアと呼ばれる四角の壁を組み合わせて作るため、耐力壁を十分に取らねばならず、多くの壁制限が付随します。
また圧着された壁面を作ることで、壁内結露を作らないための施工ですので、気密性・断熱性などの保温効果にも附従性があるため、特に施工時の胴縁による通気層の徹底で壁内結露を作らない事が大前提です。
更についづ委鶴ならば窓性能も関連してきます。

せっかくの高気密・高断熱住宅を作っても、窓部から熱が逃げて行っては保温効果の意味がありません。
このため、窓についても単なる真空層ペアサッシでは用が足りないため、断熱サッシとの併合は欠かせません。
国内では断熱等級という数値で商品も選べますし、輸入住宅などの海外製品ではF☆☆☆☆ と記載される通称フォースターなどがあります。
F4は窓のみならず、合板にもスタンプが押されていますし、国産にはJISなどの印字がされています。
現場に足を運んだ際はよく探していてください。

在来工法や鉄骨構造では、ツーバイ工法に比べ、窓面積が大きく取れることや、隙間が多い分、湿気を逃がしやすい状態にするため、壁内結露になりにくいという利点もあります。

いずれの場合も、施工の際、特に上棟の前段階では透湿防湿防水シートが張られる前、躯体が雨にさらされることがよくあるかと思いますが、このシートを張り付ける前段階で躯体の水分をなるべく飛ばしてから外壁施工に入る事がより安全です。
閉じてしまう前の躯体の含水率も関わりが無いとは言えません。
どの工法においても湿気には十分気を配り、定期的な換気や設備・装置の点検などメンテナンスが大切と言えます。

基礎

基礎とは家の土台になるコンクリートです。

種類としては布基礎とベタ基礎の二種類があります。

簡単に表現するならば、布基礎は地面をそのままに、立ち上がったコンクリートで基礎を作る方法で、ベタ基礎は地面自体にコンクリートを敷き詰めてしまう方法です。

皆さんはジブリ作品の『となりのトトロ』をご覧になった事がありますか?あのアニメで、メイちゃんが小トトロと中トトロが逃げ込んだ基礎の下を通気口から覗き込んで探す場面があります。
「あ!知ってる!」と思った方も多いと思います。
あれが昔の布基礎と呼ばれるもので、基礎の下には地面がみえる状態の基礎です。
(現在の布基礎は昔のような鉄格子の通気口は設けず、基礎と本体の通気には基礎パッキンと呼ばれる強化プラスチックで施工することが多いです。

ベタ基礎は家の下部全体がコンクリートで支えられているため、布基礎に比べ強固な作りです。
地盤改良が出た場合などでも地盤の下に打ち込む杭との関連のケースでは必須です。

以前は布基礎が標準の時代でしたが、今やベタ基礎は全国的に標準化されています。

躯体の部分も同位置ですが、住宅を施工するにあたり基礎は一番最初に行う工事です。
重要視したいのは、コンクリートを流してしまう前に行われる検査です。
建築確認の基準値通りの基礎の厚みになるよう型枠が組まれているか、何ミリの鉄筋が何センチおきに配筋されているかなどしっかりと施されているかは、新築住宅瑕疵保証制度などにより、施工業者とは別の第三者機関が検査を実施します。
施工業者が必ず立会いしなければならないので、都合が合えばご自身も検査に立会いされるとより安心です。
(検査は都度、基礎配筋時検査・上棟後中間検査・引渡し前完了検査の三回が行われます)
また、基礎高についてはGL設定(標準となるグランドレベル)から立ち上がり40センチのメーカーが多ですが、積雪の多い県や地域などでは、高基礎などが義務付けられている地域もあります。
傾斜地や水かさが心配な地域など、土地の立地、場所により基礎が通常より高くなったりするケースもよくあると思いますので追加となる割増しの料金にも気を付けましょう。

外壁・屋根

外壁の種類にもいくつか種類があります。
主にはサイディングとよばれるセメント系の材料です。
厚みは12ミリ~18ミリが多く使われ、デザインも豊富です。
商品によって施工の違いがあり、通常よく使われている外壁は透お湿防湿防水シートが張り終わった後、胴縁と言う躯体と外壁との間に通気層を設けるための金具を付けた後に貼っていきます。
外壁のデザインによったり、また、ライン形状のデザインを選ぶ際には縦方向にも横方向にも使用できる商品もるため、胴縁の接着方向が変わる場合もあります。
外壁は3.7メートルくらいの部材を張り合わせていきますので、隙間が生まれてしまいます。
ここにこーキング材と言う液状のゴム際を埋め込み、雨水の侵入を防いでいます。
ただ、外壁一面だけでも貼り合わせ部材はいくつにもなるため、どこにこーキングが入ってくるかでも外観の印象は大きく変わります。
メーカー側と相談し、部材の無駄にはなりえますが、センター貼り分け棟でビジュアルの確認もあらかじめしたいところです。
ラップサイディング形状のものはレールと呼ばれる金具を付けてから貼り付け、釘で止めていきます。
私自身。
「まずは現場にいる親方の施工法を見学し、すべて自分でもやってみないと本物の家づくりの神髄はつかめないというモットーがあり、できる限りは自分も価格セクションの工事の一部に田座触らせて頂く努力を重ねております。
そうする中で、ここにくぎを打つと割れやすくなるということも知りましたし、本来の部材に関してのカタログには載っていない工事の部分を知る事こそが客様に対するご説明が本物に近く生の声になると思っているからです。

女なんかに現場部はいられてなどと以前はよく言われた二尾でしたが、人に家を売るならまずは自分ができるだけ工事に携わりたい。
そして違いを見抜き、最善をお伝えする機能を磨きたいと思っております。
何枚割ってしまった事かわかりませんが、親方さんたちはいつも苦笑いしながら新井さんの「やりたい・知りたいが始まった」と思っている事でしょう。

このサイディング工事は工期も一番早く、工期も短いですし、指定防火地域に対応しなければならない外壁もあります。
一昔前の薄い外壁には防火性能が低いものが多くありましたが、今や外壁はどれを選ばれても火事にも強いものになっています。
値段的にも一番安価です。

続いて塗り壁、モルタルです。
こちらは昔ながらの漆喰の雰囲気を持ち、はけやコテによるお好きな模様を作れた地、2色のマーブル廃坑などの可能です。
最近の流行では私も携わりましたが、新知己住宅なのにアンティーク風に見せる「汚し加工」などもよく出るようになりました。
こまかなイメージが膨らんでいるお施主様のイメージに沿い、しゃれた洋館の演出などに大きな効果を発揮します。
国内ではディズニーリゾート内のアンティーク外壁・内装などにもこのモルタル造形が至る所に施されていますが、まだまだ職人の数が少ないと言えます
通気層とは先ほど前述した塗る部分との通気部です。
今はメッシュを入れ込むことで通気層を確保しているところが多く見られます。
塗り壁に関してはここの施工を最重視して確認するようにして下さい。
会社によっては通気層を確保しないまま塗り始めてしまう会社さんも多くあるそうです。
壁内結露に大きく影響しますので、カタログ等でも再確認してみましょう。

最近着目されているのが鉄板系外壁です。
新素材のガルバ二ウムを外壁。
屋根に貼りつけることが可能であり、ほぼメンテナンスいらずというのが一番のウリです。
一番軽量で強いですが、ですがくぎ打ちの際の鉄板のゆがみがあまりうつくしくないことと金属ですので熱にも多少弱くなります。
雨による音を一番大きく感じられることも否めないです
最後にコンクリート系外壁です。
こちらは最も厚みもあり、火災には特に強い外壁部材であると言えます。
ただ、重さが躯体にのしかかるため、躯体への重量に関しては負荷がかかりやすくなります。

屋根に関しても一般的なのはコロニアル瓦・スレート瓦です。
10年を超えると変色や時には苔の派生なども見受けられます。

日本瓦は元は重石として軸組の躯体を安定させるために用いられたもので、現在のような躯体自体が強固になりつつある中ではそれほどの意味を持たなくなった事から需要も少なくなってきています。
今や洋瓦としての素焼き瓦はデザインのためによく出回っています。

また、これらの部材の寿命や張り替え・塗り替えメンテナンスの時期は部材ごとに違いますが、メンテナンス時期の費用など、ランニングコストも考えた上で選んでみてください。

 

その他換気設備・住宅設備

最後に重複もありますが、以前日本で問題になった「シックハウス症候群」という、住宅を作る上で頻繁に使われていたクロスのノリや塗装の材料により、目の痛みやめまいなどを引き起こす原因となるホルムアルデヒドという物質が話題になった経緯がありました。
これにより、国がこのシックハウス対策のためにそのような人体に影響を及ぼす有害物質の使用を禁止しました。
これに合わせて行われた政策が換気設備の設置義務化です。
換気設備にもいろいろと種類があり、各部屋に吸気口。
排気口を設置し、自然吸気による換気を得るものや、多くは洗面室の天井上か、屋根の軒上にセントラル換気システムという装置を取り付け、そこから各部屋にダクトを配管し、スイッチのon(基本offは不可)で強制的に喚起をするものなども生まれました。
更にはそのシステムに冷暖房・加湿なども加えた高性能なセントラルヒーティングなどという商品もあります。
正にエアコンいらずですね。
ただこのセントラル換気システムもそのプラスであるセントラルヒーティングシステムも、吸い込む力が無ければ成り立たず、高気密・高断熱住宅にのみ対応可能なシステムなのです。
反対に言うと。
壁内にダクトが埋め込まれている状態ですので、故障の際には大掛かりになる事もあり得ます。

換気設備は家の空気環境や生活環境を大きく変えるものですので。
しっかりと各メーカーのパンフレット等で、比較する床が重要です。

その他、キッチン・洗面台・ユニットバスについてもサイズや特性・オプションの多さなども違いがあります。
基本水回り等の住宅設備はその販売元メーカーの保証と夏事が殆どですので、引渡し以後の対応も確認できれば完璧です。